
入社後、製造業の知識がない状態から、どのようにお客様の課題を理解し、提案できる営業へ成長していくのか。営業製作所では、トークスクリプトやテレアポの練習から始めるのではなく、会社の考え方、製造業の構造や技術、財務会計、そして各サービスの成り立ちまでを段階的に学びます。
座学で知識を身につけた後は、ロールプレイングやテストを経て実務へ。先輩の同席を受けながら少しずつ担当範囲を広げ、最終的には顧客獲得から導入後のコンサルティング支援までを一気通貫で担います。
今回は、東日本・新横浜拠点を任され、自身も研修やマニュアルの改善に携わるH.Sさんに、営業製作所のオンボーディング※の全体像と、成長を支える仕組みについて聞きました。
※新しく組織に加わった人材が、いち早く職場に順応し、早期に活躍できるよう支援する一連の育成プロセスのこと。
ソリューション営業部 東日本営業リーダー
営業製作所への入社後は、営業職として新規顧客の開拓から提案、サービス導入後の支援まで幅広く経験。現在は、自身の営業活動に取り組むとともに、東日本・新横浜拠点の責任者として、チーム全体の目標達成に向けたマネジメントも担っている。約8名のメンバーをまとめながら、東日本エリアのお客様の営業活動を支援している。
最初の2〜3ヶ月は座学。トークより先に「誰に、なぜ届けるのか」を学ぶ
—入社してから実務を担うまで、どのような流れで学んでいくのでしょうか。
H.Sさん:中途入社の場合は、おおむね2〜3ヶ月を座学に充てます。最初に学ぶのは、営業製作所がどのような会社なのか、どこを目指しているのかということです。社内のルールも含めて、まず会社について正しく理解してもらいます。会社の考え方や目指す方向がずれてしまうと、その後に知識や技術を身につけても意味がありませんから。
その後に、製造業に関する基礎的な知識や、お客様になり得る業界の構造、業界が抱える課題、現在の市場環境などを学びます。「なぜ、この業界に営業支援が求められるのか」「なぜ、なぜ営業製作所のサービスが役立つのか」まで理解してもらうイメージです。
座学は、会社、製造技術、業界、そして自社サービスの順で学んでいきます。前提となる知識がない状態でサービスの説明だけを聞いても、誰に、どのような提案をすればよいのかはわかりません。サービスとお客様の両方を理解して、初めて提案の土台ができます。
—一般的な営業研修のように、最初から営業トークの台本やテレアポを学ぶわけではないのですね。
H.Sさん:そうですね。新卒研修では、最初の1ヶ月ほどは業界や仕事に関する知識を身につける期間です。2026年入社の新卒メンバーも、ゴールデンウィーク頃までは業界や技術の知識を学び、その後に役員から各サービスの説明を受けました。
たとえば、製造業では人手不足が課題になっていると先に学んでいるからこそ、「広報Engine※」がどのような背景から生まれ、どのような課題を解決するサービスなのかを、より深く理解できます。「Eigyo Engine」や「ジーエン図面」なども同じです。
※広報Engineとは、SNSを活用した、会社の広報・ブランディングや採用支援するサービス
サービスを理解した後に、アポイントを取る際はどのような切り口で話すのか、提案ではどのような武器を使うのかを学び、ロールプレイングへ進みます。トークだけを先に覚えてしまうと、サービスの本質からずれてしまうことがあります。だから、営業製作所では本質の理解を先に置いています。
会社理解で伝えるのは、部署の上下ではなく「同じ船に乗るチーム」という考え方
—会社について学ぶ研修では、どのようなことを伝えていますか。
H.Sさん:会社の歴史や方向性だけでなく、営業製作所が組織として大切にしている考え方も伝えます。営業製作所は、役員を頂点とする上下関係の強い組織ではなく、それぞれの部門が連携しながら仕事を進める会社です。
例えば、営業部とカスタマーサクセス部の間にも、どちらが上でどちらが下という関係にはありません。営業部は企画をつくり、カスタマーサクセス部は現場で実行する。それぞれの役割が違うだけです。カスタマーサクセス部(現場)からのフィードバックがあるから、営業部側も企画をさらに改善できます。片方だけでは成立せず、両部署が揃いチームとして連携することで価値を生み出すビジネスです。
評価や報酬の仕組みについても、個人だけが成果を出せばよいのではなく、会社全体で成果を出すことが大切だと説明します。自分が頑張るのは当然として、チームのためにどれだけ動けるか。それが個人の評価にもつながります。
研修で話すとき、私は「同じ船に乗っている」と表現していました。船は誰か一人が役割を果たさなければ成り立ちません。部署は分かれていても、同じ目的に向かって全員で進む会社だということを、最初の段階で理解してもらいます。
「ものづくりの会社」で終わらせない。顧客のビジネスモデルまで理解する

—製造業や技術については、具体的に何を学ぶのでしょうか。
H.Sさん:まずは業界の全体像を学び、その後、個々の加工技術に関する知識を身につけていきます。産業機械をはじめとする各業界の特徴や代表的な企業、製造業の多重下請け構造、切削加工などの加工技術について、大枠から細かい内容へ分解して学んでいきます。
目指しているのは、お客様のビジネスモデルを理解できる状態です。たとえば鉄やアルミの切削加工を行う会社へ提案するときに、「切削加工とは何か」から始まっていては、お客様との会話の中で課題を深掘りできません。
物とお金がどのように流れ、どこでどのような加工を行うことで価値が生まれているのか。最終的に何になる製品の、どの部品を、どのように加工している会社なのか。そこまで把握できて初めて、商流(製品やお金の流れ等)のどこに課題があり、どのような企業へ営業すべきかを考えられます。
製造業のお客様に対して「ものづくりをしている会社ですよね」という理解だけでは足りません。業界に特化した支援を提供する以上、お客様と同じ目線で会話するための知識が必要です。その知識は、お客様から信頼していただくための土台にもなります。
—財務会計についても研修で扱うそうですね。
H.Sさん:はい、経営者と話すうえで必要な知識だからです。例えば、会社の財務的な安定性を示す「自己資本比率」や、売上からどれだけ利益を出しているかを示す「粗利率」「営業利益」「経常利益」、企業の資産より負債が多い財政状態を示す「債務超過」など、経営状況を読み解くための基本的な用語を学びます。こうした用語を理解していなければ、経営者が抱えている悩みの大きさを捉えられません。
売上が増えれば、それだけ順調とは限りません。本業でどれだけ利益を出せているのか、会社の財務状態は安定しているのかなど、数字の背景まで理解する必要があります。
製造業や財務会計の知識は、単に用語や数字を暗記することが目的ではありません。お客様がどのような経営状況にあり、どんな課題を抱えているのか、多角的・構造的に理解するために学ぶものです。
研修は、現場の知見を取り込みながら毎年アップデートされる
—研修で使う教材やマニュアルは、どのようにつくられているのでしょうか。
H.Sさん:これまでのお客様との対話や支援で蓄積した知識をマニュアルへ落とし込んでいます。一般的な業界情報も、営業製作所の仕事で使いやすい形に直しています。
研修を実施する現場からも、「この表現ではわかりづらい」「この業界の整理には違和感がある」といったフィードバックを育成チームへ返します。その内容を反映して、今年より来年、来年より再来年と、研修教材・マニュアル・内容を改善していきます。
現在は、製造業の業界知識やサービス理解、業務の進め方などを学べる約360本の教育コンテンツと、週30本ほどの研修があります。
教材を一度学んで終わりではなく、実務に出た後に「あのとき学んだのは、このことだったのか」と見返せる状態にしています。
—知識が身についているかは、どのように確認しますか。
H.Sさん:単元ごとにテストを行います。全ての研修が終わってからまとめて確認するだけでは、1ヶ月前に学んだ内容を忘れてしまいますから。途中で習熟度を確認し、その結果は配属の検討の際にも参考にされます。
サービスについて学んだ後は、お客様からの質問や反応に応じた受け答え、電話や商談での話し方などを学びます。営業トークの台本だけでなく、実際の会話を収録した音源やロールプレイングに使用する題材も用意しています。
研修の途中では、中間テストとしてロールプレイングを行い、「ここは直したほうがよい」とフィードバックすることもあります。
営業マニュアルは、営業のロジックに基づいてかなり磨き込まれています。たとえば、結論から答え、理由を話し、最後にもう一度結論で締める。本人がまだ理論を完全に理解していなくても、まず型を身につけることで、結果的に論理的な話し方になるよう設計されています。
ロールプレイングから実務へ。補助輪を少しずつ外していくOJT
—座学とロールプレイングを終えた後は、どのように実務へ移るのでしょうか。
H.Sさん:まず電話での新規顧客へのアプローチから始めます。一定の基準を満たしたら一人で担当します。
次の段階では、自分が獲得したアポイントの商談に同席し、先輩がどのように話を進めているのかを学びます。慣れてきたら、先輩の同席のもとで冒頭の10分を自分で担当する。その後は初回商談を自分で進め、必要な場面だけ先輩に支援してもらう。できる範囲を少しずつ広げていきます。
サービス導入後のコンサルティング支援も同じです。最初の2〜3回は先輩がお客様との最初の打ち合わせを進める様子を見て、流れを理解します。その後、担当する5〜6社ほどまでは先輩が手厚く伴走しながら、自分で進める範囲を増やしていきます。それ以降は、原則として一人で担当します。
いきなりすべてを任せるのではなく、段階的に補助輪を外していくイメージです。
—顧客獲得と導入後の支援では、求められる力も違いますか。
H.Sさん:まったく違う仕事だと思います。新規顧客の開拓では、まずお客様に関心を持っていただき、商談や契約へつなげる力が必要です。
一方、サービス導入後の支援では、契約していただいたお客様に対して、成果を生み出す責任があります。思うような成果が出なかった場合には、その理由を説明し、次に何をするのかを提案しなければなりません。数字をもとに状況を整理し、プロジェクトを改善していく力が必要です。
営業製作所では、新規顧客の開拓から導入後の支援までを、一人の担当者が一貫して担います。一般的な会社では、別々の部署が担当することも多い仕事を、一気通貫で経験できる環境です。そのため覚えることは多いですが、営業力だけでなく、課題を分析する力や、プロジェクトを前に進める力も見つけることができます。
複数の商材と多様な顧客に向き合い、圧倒的な「打席数」を得る
—オンボーディング後、実務を通じてどのように成長していくのでしょうか。
H.Sさん:営業製作所では、多くのお客様の営業企画に関わります。お客様ごとにビジネスモデルを理解し、何を強みとして打ち出すかを考え続けます。自社の一つの商品だけを売るのではなく、社内の複数サービスを扱い、さらにお客様の商品や技術を市場へ届ける仕事です。
そのため、一社の中だけで営業をするよりも、さまざまなパターンを経験できます。この提案はうまくいった、このターゲットは合わなかった、この業界では数を重ねる必要がある。多くのテストマーケティングに関わり、別のお客様で得た知見も次の提案へ生かせます。
単にテレアポの件数を追い、営業の体力をつけるだけではありません。多様なビジネスモデルを理解し、仮説を立て、検証する経験を重ねる。こうした経験を重ねることで、自分で考え、より良い営業方法を組み立てる力を伸ばせる環境だと思います。
実際、社内にはもともと製造業でものづくりをしていた人ばかりがいるわけではありません。それでも製造業の支援ができるのは、知識を学ぶ仕組みと、実践を積み重ねる環境があるからです。
まずは型を受け入れる。成長の起点になるのは「素直さ」と「吸収力」
—営業製作所のオンボーディングを通じて成長しやすいのは、どのような方でしょうか。
H.Sさん:素直さと、どこからでも学ぼうとする姿勢を持つ方だと思います。学べる環境やマニュアルがあっても、「自分なりのやり方」にこだわりすぎると、吸収できるものが少なくなります。
特に中途入社の場合は、これまでの成功体験がある分、ロールプレイングや会社で定めている型に抵抗を感じることもあると思います。ただ、営業製作所には、これまで磨き上げてきたやり方があります。最初から自己流で進めるのではなく、まず型を身につけ、そのうえで自分らしさを加えていくことが大切です。
製造業の知識やサービスの専門性は、入社後に学べます。しかし、学ぶ姿勢そのものは本人次第です。真っ白なキャンバスのように吸収し、フィードバックを行動へ移せる方ほど、成長は速いと思います。